自動車事故の3+1責任

自動車事故を起こした加害者には、3つの法的責任と、道義的責任が問われます
道義的責任を果たしている場合法的責任の軽減に結びつくことがあります

  責任 解説
法的責任1 民事上の責任 被害者に対する民事上の損害賠償責任のことで、自動車保険(対物・対人賠償責任保険)、自賠責保険が対象となります。
法的責任2 刑事上の責任 一般に刑罰といわれます。人身事故の場合は自動車運転過失致死傷罪に問われ、物損事故の場合は道路交通法違反に問われます。
例)懲役・禁固、罰金、科料など
◆危険運転致死傷罪
◆過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪
◆過失運転致死傷罪
(業務上過失致死傷罪)
◆無免許運転による加重規定
法的責任3 行政上の責任 一般に行政処分と呼ばれるもので管轄地の公安委員会が扱います。
例)運転免許証の取消・停止・減点・反則金など
その他 4 道義上の責任 被害者に対する誠意、お詫び、お見舞い


刑事責任の知識
①刑事処分の流れ
(ア)警察から出頭するよう求められます。
警察では、事故発生時の状況や事故の直前直後の状況についての取調べが行われ、「供述調書」が作成されます。
この供述調書とは検察官の事件処理や起訴された場合の裁判官の証拠として採用される重要なものです。
調書の内容が自分の話した内容通り記載されているか確認してから署名・捺印する必要があります。
(イ)警察から検察庁に刑事事件として送検されます。
検察官は必要な捜査を終えたあと、起訴するか不起訴にするか決定します。不起訴になった場合、刑事罰はありません。
(ウ)起訴された場合
「略式手続」によって、公判手続きを経ないで罰金刑が確定される場合と、「公判手続」によって刑事裁判が行われ、判決によって刑が確定される場合があります。

②未成年者の場合
未成年者については、成人のようにいきなり懲役等の処分を決めることは許されません。検察官は罪を犯した疑いがある場合は少年法第42 条の規定により、すべて家庭裁判所に送致しなければなりません。家庭裁判所では送致を受けた少年につき審査を開始し、その結果により処分を行います。

③示談書・嘆願書の効力
示談書・嘆願書の有無および内容は検察庁の刑事処分の最終決定や、裁判の際、いずれの処分に決定すべきかという、二つの処分の境界線にある場合に重視されると考えられます。その他、量刑上の有利な情状資料となると考えられるのが一般的です。
なお、示談不成立の理由が被害者側にあることが明確であれば、たとえ示談できていなくても加害者が刑事処分上不利となることはありません。

(3)行政責任(行政処分)
刑罰ではなく、運転免許の取消しや免許停止など一般には行政処分と呼ばれているものです。この行政処分は、道路交通を安全、円滑に行わしめ、交通事故防止を図るためにとられる方法で、次の制度から成り立っています。
①交通違反者に対する警察の措置
(ア)交通反則通告制度に基づく通告処分
交通反則通告制度とは、違反した事実に対し反則金を科して、運転者に経済的負担を強いることを目的とした制度です。違反行為のうち、比較的軽いもの (反則行為といいます) については、警察官から交通反則告知書(青キップ)と納付書を渡されます。
その日を含めて8日以内に交通反則告知書(青キップ)と納付書に記入された金額の反
則金を銀行か郵便局に納付すると、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けないで事件が処理されます。しかし期限以内に反則金を納付しなかった場合には刑事手続きが進行することになります。
(イ)運転免許の取消と停止などの行政処分
点数制度は、運転免許を停止したり取消したりするための制度で、個々の違反ごとに点数があらかじめ決められています。
犯した違反が悪質であれば付けられる点数は大きく1回の違反で免許停止や取消しとなります。悪質でなければ、点数は小さく、その違反だけでは免許停止や取消しの処分はありません。
しかし、小さな点数でも何度も違反していると一定点数に達し、免許停止となります。
違反点数については、公安委員会より文書で通知されます。交通違反をしたときはその都度、違反点数及び過去3年以内の交通違反・事故の点数がすべて合計されます。
ただし、無事故・無違反に対する特例が設けられています。
(ウ)行政処分を受けたものに対する講習
取消処分者講習
停止処分者講習